父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果の公表について

General information about the resource:

Language: Japanese

What is it about?

父母の離婚後の子の養育に関する海外法制について

離婚後の親権制度について,我が国の民法では,単独親権制度が採用されているが,その在り方をめぐっては,関係各方面から様々な意見が寄せられているほか,平成23年に成立した「民法等の一部を改正する法律」の附帯決議では,離婚後の親権制度の在り方について検討すべきものとされている。さらに,上記附帯決議においては,離婚後の親権制度と関連する問題である離婚後の子の養育の在り方につき,離婚後の面会交流の継続的な履行を確保するための方策等について検討すべきものとされている。

 そこで,法務省においては,このような状況を踏まえ,離婚後の親権制度や子の養育の在り方について,外務省に依頼してG20を含む海外24か国の法制度や運用状況の基本的調査を行った。

 本報告書は,主として下記の事項について,各国の政府関係者等からの聞き取りや文献調査を基に,各国の離婚後の親権や子の養育の在り方に関する,主として制度面について取りまとめたものである。もっとも,各国の法制度は様々であり,その法制度によっては下記の事項に直接回答することが困難な場合もあることから,下記の事項の全てについて対象国から網羅的な回答が得られたわけではない。

本調査は,法務省がこれまでに行った海外法制調査より対象国や調査事項を広げて行ったものであり,父母の離婚後の子の養育の在り方を検討するに当たって有用な情報を提供するものである。記

  • 各国の親権の内容及び父母の離婚後の親権行使又は監護の態様ア 父母の離婚後も共同で親権を行使することを許容する制度の有無
    • アの制度が採用されている場合に,父母が共同して行使する親権の内容
    • 父母の離婚後の子の養育について,父母の意見が対立する場合の対応
  • 協議離婚(裁判所が関与しない離婚)の制度の有無
  • 子の養育の在り方について

  ア 父母の離婚時に子に対する面会交流又は子の養育費の支払について取決めをする法的義務の有無・内容イ 公的機関による面会交流又は子の養育費の支払についての支援の有無・内容

ウ 父母の離婚後に子を監護する親が転居をする場合の制限の有無・内容

  • 離婚後共同親権制度の下における困難事例
  • 嫡出でない子の親権の在り方

以上令和2年4月 法務省民事局目  次

【北米】 …………………………………………………………………………………………………………………. 3 第1 アメリカ(ニューヨーク州) ……………………………………………………………………….. 3 第2 アメリカ(ワシントンDC) ……………………………………………………………………….. 5 第3 カナダ(ケベック州) …………………………………………………………………………………. 7 第4 カナダ(ブリティッシュコロンビア州) ……………………………………………………….. 9

【中南米】 …………………………………………………………………………………………………………….. 13 第1 アルゼンチン ……………………………………………………………………………………………. 13 第2 ブラジル …………………………………………………………………………………………………… 15 第3 メキシコ …………………………………………………………………………………………………… 18

【アジア】 …………………………………………………………………………………………………………….. 20 第1 インド ……………………………………………………………………………………………………… 20 第2 インドネシア ……………………………………………………………………………………………. 21 第3 韓国 …………………………………………………………………………………………………………. 23 第4 タイ …………………………………………………………………………………………………………. 26 第5 中国 …………………………………………………………………………………………………………. 29 第6 フィリピン ……………………………………………………………………………………………….. 31

【欧州】 ……………………………………………………………………………………………………………….. 32 第1 イタリア …………………………………………………………………………………………………… 32 第2 イギリス(イングランド及びウェールズ) ………………………………………………….. 35 第3 オランダ …………………………………………………………………………………………………… 39 第4 スイス ……………………………………………………………………………………………………… 42 第5 スウェーデン ……………………………………………………………………………………………. 45 第6 スペイン …………………………………………………………………………………………………… 48 第7 ドイツ ……………………………………………………………………………………………………… 50 第8 フランス …………………………………………………………………………………………………… 53 第9 ロシア ……………………………………………………………………………………………………… 56 【オセアニア】 ― オーストラリア ……………………………………………………………………… 58

【中東・アフリカ】 ……………………………………………………………………………………………….. 61 第1 サウジアラビア …………………………………………………………………………………………. 61 第2 トルコ ……………………………………………………………………………………………………… 62 第3 南アフリカ ……………………………………………………………………………………………….. 63

【北米】

第1 アメリカ(ニューヨーク州)

  • 離婚後の監護の態様

  ・ 監護(custody)[1]には,法的監護と身上監護がある。離婚後は,法的監護・身上監護について,単独及び共同での行使が認められている(家族関係法第240条)。なお,全ての監護及び面会交流に関する裁判において,家庭内暴力の有無が考慮されなければならない(同条)。

  ・ 法的監護については,両親が敵対関係にない場合のみ,離婚後も,両親が共同して行使することになる。

  ・ 身上監護は,子と共に居住する権利であり,子と一緒に住んでいた期間が長い方の親が取得する傾向にあるという。

  • 離婚後の監護についての両親の意見が対立する場合の対応

   両親の意見が対立する場合には,仲裁者又は調停者が調整に当たることがある。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   子の有無にかかわらず,争いのない離婚の場合でも書類を裁判所に提出し,裁判所の確認を受けた上で,離婚が認められることになる。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚時に面会交流について取決めをすることは義務付けられていない。

両親の一方又は双方の要求に応じて,裁判所が決定する。

  • 面会交流の支援制度

    両親間の仲裁者又は調停者が調整に当たることがある。

    面会交流の合意についての違反が著しい場合には,刑事事件として扱われることもある(子の保護への干渉に関する州法135.45, 13

5.50及び実の両親による子の誘拐に関する連邦法)。

    裁判により支払を命じられた養育費を受領している同居親が,裁判により命じられた面会交流を不当に妨害した場合には,裁判所はその裁量において,面会交流が侵害されている間,養育費の支払を停止するか,支払遅滞による責任を免除することができる(家族関係法第241条)[2]

  • 居所指定

   離婚後に,子を監護する親が転居する場合には,裁判所の許可が必要となる。

  • 養育費

   離婚時に養育費について取決めをすることは義務付けられていない。父母の一方又は双方の要求に応じて,裁判所が決定する。

  • 嫡出でない子の親権

   父が認知した場合には,父が監護をすることが認められている。

第2 アメリカ(ワシントンDC)

  • 離婚後の監護の態様

監護には,法的監護(Legal custody)と身体的監護(Physical custody)があり,離婚後に共同行使するものについて,条文上限定は加えられていない。

   法的監護とは,子に対する法的な責任を意味し,子の健康,教育,一般的な福祉に関して決定する権利,子の教育,医療,精神状態,歯科治療,その他の記録にアクセスする権利並びに学校職員,医療提供者,カウンセラー及びその他の子と交流する者と話をし,それらの者から情報を入手する権利が含まれる。身体的監護とは,子の住居形態を意味し,子の住居や面会交流のスケジュールが含まれる。

  • 離婚後の監護についての両親の意見が対立する場合の対応    最終的には,裁判所が子の利益の最大化の観点から決定する。
  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   認められている(裁判所に申請する必要はあるが,当事者間で争いがない場合には,申請がそのまま認められ,裁判所の実質的な関与はない。)。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚時に面会交流について取決めをすることは義務付けられていない。

  • 面会交流の支援制度

    例えば,監護権についての裁判所での手続の初期段階で,全ての親がクラス(Parenting Class)を受講することが義務付けられており,そこでは裁判所の手続が説明されるほか,裁判所の決定によるのではなく当事者間の合意により監護についての詳細を決めることが薦められる。

  • 居所指定

   多くの場合,監護の条件について定めた合意又は裁判所の命令の中で転居の制限について規定されるほか,法律上も,他方の親の正当な監護権の行使を妨げる行為が原則として禁止されている。

  • 養育費
    • 離婚時に取り決めることが義務付けられているか    義務付けられていない。
    • 養育費支払実現のための制度・援助

    コロンビア特別区政府の司法長官室養育費支援部門(Office of the

Attorney General, Child Support Services Division)において,親の所在の特定,養育費を求める親を代理し裁判所の支払命令の取得,支払命令の執行(給与差押え,自動車運転免許・車両登録・パスポートの停止による間接強制等)といった支援を提供している。

第3 カナダ(ケベック州)

  • 離婚後の親権行使の態様

  ・ 離婚後も,両親は共同して親権(parental authority)を行使する。

  ・ 離婚の申請があった場合には,裁判所は,配偶者間に合意があるときはそれを考慮し,また,子の利益と権利を尊重することを重視して,子の監護(custody)及び教育についての裁定を行う必要がある(州民法第51

4条,第521条)。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 親権の行使について両親の意見が一致しない場合には,両親の一方又は双方は,その意見の対立の解決を求めて裁判所に提訴することができる(州民法第196条,第604条)。裁判所は,両親の和解を奨励した上で,子の最善の利益の原則に従って判断する(同法第32条,第33条,第196条,第604条)。

  ・ 裁判官は,判断の際に専門家の意見を参照することができる(州民事訴訟法第425条以下)。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否    子の有無にかかわらず,協議離婚は認められていない。
  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚時に面会交流の内容について取決めをすることは義務付けられていないようであるが,裁判所は,離婚に際し,両親の一方又は双方の請求により,子の監護及び養育費に関して臨時命令を発することができる(州民法第15条~第20条)。

  • 面会交流の支援制度
    • 面会交流監督サービス

     親が監督の下で子を訪ねることができるというサービスであり,面会交流が妨げられたり,困難であったり,面会交流について紛争が生じたりした場合に利用することができる。

  • 認可支援サービス

     親は,面会交流等に係る家庭裁判所判決を,安価で改訂させることができる。

  • 居所指定

      両親は,転居することはできる。

   しかしながら,同居親が,非同居親から遠く離れた場所に転居しようとする場合には,非同居親は,子の監護について取り決められた時点ではそのような転居は想定されていなかったことを理由としてこれに反対し,子の監護権を求めて裁判所に訴えることができる。

  • 養育費
    • 離婚時に取り決めることが義務付けられているか

    離婚時に養育費について取決めをすることは義務付けられていないようであるが,裁判所は,離婚に際し,両親の一方又は双方の請求により,子の監護及び養育費に関して臨時命令を発することができる(州民法第

15条~第20条)。

  • 養育費支払実現のための制度・援助    ア 養育費支払支援法による対応

     養育費支払支援法により,州収入省は,養育費を支払うべき者からこれを徴収し,養育費を受け取るべき者にこれを支払う権限を有する。

  • 認可支援サービス

     親は,養育費等に係る家庭裁判所判決を,安価で改訂させることができる。

  • 子の養育費再調整行政手続サービス

     このサービスにより,親は,極めて安価に子の養育費の再調整をすることができる。利用申請は,両親の一方又は双方が行うことができる。再調整後の養育費については,親がその金額に同意しない場合は裁判所に再見直しの申請を行うことができる。

  • 嫡出でない子の親権

   認知等により親子関係が確立していれば,親権の共同行使が認められている。

第4 カナダ(ブリティッシュコロンビア州)

  • 離婚後の監護の態様

  ・ 子と同居していた親は,離婚(別居)後も,子に対して監護権(guardianship[3])を有する(州家族法第39条第1項)。各監護者は,監護者間の合意又は裁判所による異なる決定がなければ,その協議が不合理又は不適当でない限り,他の監護者との協議により,親権(ブリティッシュコロンビア州では親責任(parental responsibilities)という用語が採用されているが,本報告書においては,以下においても,「親権」と記載する。)の全てを行使することができる(同法第40条)[4]

    子の監護者(guardian)のみが,親権を行使することができる(同条)。なお,監護者の合意又は裁判所の決定により,一人の監護者が単独で親権の全部又は一部を行使することや,監護者が共同で親権の全部又は一部を行使することを定めることもできる。

  ・ 連邦離婚法においては,子についての決定責任(decision-making responsibility[5])は,両親の双方又は一方に付与することができるとされている(離婚法修正第16.3条)。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 監護者の間で,親権行使に関して合意をすることができない場合には,裁判所は,監護者にどのように親権を付与するかについて定めることができる(州家族法第45条)。その際,裁判所は子の最善の利益に基づいて判断する(同法第37条第1項, 考慮事項は,同条第2項に列挙されている。)。

  ・ 監護者間で意見が対立するような場合に,裁判所は,判断の参考にするために専門家に報告書の作成を命じることができる(同法第211条第1項)。報告の内容は,子のニーズ,子の意見等である。この場合の専門家とは,家族司法カウンセラー(family justice counsellor)[6],ソーシャルワーカー,その他裁判所によって認められた者である(同条第2項)。

  • 共同親権行使における解決困難な事項

   後記6で紹介する子の転居をめぐる紛争が解決困難な事項として挙げられている。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

  ・ 子の有無にかかわらず,協議離婚は認められておらず,裁判所の決定が必要である。もっとも,夫婦が,親権行使の方法,扶養料,財産分与等について合意に達している場合は,当事者は裁判所に出頭する必要はなく,裁判官が書面を確認することにより離婚が認められる。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

   ・ 離婚後も,監護者である親は,子と共に過ごすことができるが,それは親の権利ではなく,子の最善の利益のみを考慮して認められるものである(州家族法第37条第1項)。

   ・ 子の監護者ではない親と子が共に過ごすことは,「子との交流」(contact)と呼ばれる。この交流も親の権利ではなく,子の最善の利益のみを考慮して認められる。交流の内容は,子の監護者である親との合意によって定めることができるが,合意をすることができない場合には,裁判所が決定をすることもできる(同法第59条第2項)。

   ・ 州家族法においては,両親が離婚時に面会交流について取決めをすることは義務付けられていない。ただし,裁判所は,両親が面会交流も含む適切な養育計画を作成していないと離婚を認めないこともある(上記2も参照)。

  • 面会交流の支援制度
    • PAS(Parenting After Separation)

     州政府が出資し,司法省(Ministry of Attorney General)の家族司法サービス部門(FJSD,:Family Justice Services Division)が運営するサービスである。別離後の両親に対し,適切な面会交流の時間や交流の合意をすることができるようにするための情報を提供する,教育コースである。州裁判所に養育計画や面会交流等についての決定を求めた両親は,必ずPASを受けなければならない。

交流等に関する情報提供をし,両当事者が合意に達することができるように援助をする。

この場合も,両親は利用の対価を支払う必要はない。

  • 家族司法カウンセラー[7]による支援

          両親は,面会交流についての適切な合意をすることができるように,家族司法カウンセラーからの情報提供,援助を受けることができる。

  • 居所指定

   州家族法には,他の監護者の同意がないが,転居を希望する者が転居の許可を求める手続が規定されている。

  • 監護者が転居したい場合において,養育計画や面会交流についての合意又は裁判所の命令がないときには,まずそれらについて定められなければならない。
    • 養育計画や面会交流についての合意又は裁判所の命令が既に存在する場合には,次のようになる。

   ・ まず,「転居」とは,子又は子の監護者の居所を変更し,子と監護者その他の者との関係に重要な影響を与えるものと定義されている(州家族法第65条第1項)。

   ・ 自分自身又は子の転居を計画している監護者は,他の監護者(や子との面会交流が認められている者)に少なくとも転居の60日前に転居の予定を文書で通知しなければならない。この通知には,転居の日及び転居先を記載する必要がある(同法第66条)。これを受けて,他の監護者が裁判所に転居の禁止を申し立てない限り,転居は許可される(同法第68条)。なお,転居禁止の申立ては,上記の通知を受けた日から

30日以内に行わなければならない。

   ・ 裁判所の転居許否の基準については,州家族法に規定が設けられている(同法第69条)。

     子と過ごす時間が両親間で概ね均等とされている場合には,転居を計画する監護者は,①当該転居は公正なものであること(in good faith),②子と他の監護者との間の関係を維持するための合理的で有効な提案を行ったこと,③転居が子の最善の利益にかなうことを主張立証しなければならない(同条第5項)。

     他方で,子と過ごす時間が両親間で均等とされていない場合には,転居を計画する監護者が,①当該転居は公正なものであること,②子と他の監護者との間の関係を維持するための合理的で有効な提案を行ったことを主張立証した場合には,裁判所は,当該転居は子の最善の利益にかなうものとして,転居を許可しなければならない。もっとも,他の監護者が,当該転居は子の最善の利益にかなわないと反証した場合には,裁判所は,転居を禁止することができる(同条第4項)。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に両親が養育費について取決めをすることは,州家族法においては求められていない。ただし,離婚時に両親が養育費について合意をしていないと,裁判所は離婚を認めないこともある(上記4も参照)。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    上記5⑵で紹介したPAS及び家族司法カウンセラーによる支援に加えて,FMEP(Family Maintenance Enforcement Program,家族扶養履行強制プログラム)という制度がある。

    両親の一方がFMEPに登録をすれば,FMEPは,合意され又は裁判所に命じられた養育費の取立てを行う。FMEPは,支払義務者との間で,支払を適切に行うための合意をし,もし支払がされなかった場合には,履行強制を行う。

    FMEPは,司法省の1部門によって運用されており,養育費を受領する親は,無償で当該サービスを利用することができる。

  • 嫡出でない子の親権

   親子関係があるのであれば,婚姻の有無にかかわらず,全ての親が子に対して監護権を有し,それぞれが親権を行使する。

【中南米】

第1 アルゼンチン[8]

  • 離婚後の親権行使の態様

  ・ 離婚後も,両親が親権(アルゼンチンでは「親責任」という用語が採用されているが,本報告書においては,以下においても,「親権」と記載する。)を行使する。ただし,両親の意思又は裁判所の決定により,子の利益のために,親権の行使は,両親の一方により又は様々な形式で行使させることができる(民法第641条)。なお,裁判所は,不可能又は子に有害でない限り,全ての子について親権の共同行使を許可しなければならないとされている(同法第651条)。

  ・ 通常は,監護者を決定するが,両親共に監護者とすることも認められている[9]

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 両親の間で意見の相違がある場合には,その解決を求めて裁判所に訴えることができる(民法第642条)。

  ・ 両親間で意見の不一致が繰り返されるか,親権の行使を深刻に妨げる他の原因が生じた場合には,裁判官は2年を超えない範囲内で,両親のいずれか一方に親権の全部又は一部を行使させるか,又は親権を分担させることができる(同条)。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   子の有無にかかわらず,協議離婚は認められていない。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

   ・ 離婚時に面会交流について取決めをすることは義務付けられていないが,両親は面会交流の体制を含む養育計画を裁判所に提出することができる(民法第655条)。

   ・ 両親の間で合意が成立しない場合には,裁判官が検察官の関与の下に,面会交流の具体的な内容を決定する。

  • 面会交流の支援制度     州の機関によるカウンセリングサービスの支援が存在する。
  • 居所指定

   非同居親には子と円滑にコミュニケーションをとる権利と義務があることから(民法第652条),同居親は,非同居親の権利を害さないように配慮をすることが求められる。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に養育費について取決めをすることは義務付けられていないが,両親は,各自が負う責任などを含む養育計画を裁判所に提出することができる(民法第655条)。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    州の機関によるカウンセリングサービスの支援が存在する。

  • 嫡出でない子の親権

   子の出生証明書に父の名が記載されていれば,共同親権となる。

第2 ブラジル[10]

  • 離婚後の家族権行使の態様

  ・ 離婚後も,両親が子に対して家族権を有する。

  ・ 両親は,離婚後の子の監護について,共同監護か単独監護かを選択することができるが,原則として共同監護である。いずれの形態にするのかは,離婚の訴訟において,両親の一方又は双方が両者の合意に基づく申請(民法第1584条Ⅰ),又は裁判官の宣告(同条Ⅱ)により定められる。裁判官は,「子の監護に関し,父母の間で合意が成立せず,父母共に家族権を行使することができる条件にある場合には,父母のいずれかが裁判官に対して子の監護を望まないと宣言する場合を除き,共同監護を適用する」(同条第2項)。

  • 離婚後の共同家族権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 基本的には,個別の紛争が生ずるたびに,家庭裁判所が具体的事情に応じて判断する方法が採られている。離婚後,家族権の共同行使に関し,両親の間で意見が対立したときは,裁判官が,両親及び(家庭問題を担当する)検察官の意見を聴いて調整する。

  ・ 裁判官の判断のために,専門家又はスタッフの関与が認められている。「裁判官は,父母の役割及び共同監護下における同居の期間を設定するに当たり,任意に又は検察官の要請により,父及び母と同居する時間を均等に配分することを目的として,専門家又は学際的なグループのオリエ

ンテーションを参考にすることができる」(民法第1584条第3項)。

  • 家族権の共同行使における困難事項

   子が幼い場合は,裁判官の判断が難しいとされる。

   すなわち,子が12歳以上のときは,裁判所が,子の意見を聴き,その意見を尊重するように努めているが[11],子が乳児や幼児のときは,意見を聴くことができないため,判断が非常に難しくなる。そのような場合には,実務では,母親の意見を聴くケースが多い。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否    協議離婚は,未成年の子(又は無能力の子)がいない場合にのみ認められている(民事訴訟法第1124-A条)。
  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚時に面会交流について取決めをすることは義務付けられていないが,非監護親は,監護者との合意又は裁判官の定める条件に基づき,子との面会交流をすることができる(民法第1589条)。

  • 面会交流の支援制度
    • 離婚時の裁判所による両親への教育

     裁判官は,離婚後の子との面会交流等の権利・義務及びこれらを順守しなかった場合の罰則について説明する(同法第1584条第1項)。

  • 面会交流の内容の実現を担保

     民法第1584条第4項は,「単独又は共同監護の合意事項が無許可で変更される場合又は理由なく順守されない場合には,監護者の権利が消滅され得る」と定めている。例えば,離婚成立後に,一方の親から面会交流が拒否されたときには,一般的に,家庭裁判所,検察官及び公選弁護官が対応している。裁判官は,両親を召喚して説得し,話合いでの解決を促すが,話合いで解決しないときは,審判をする。

  • 地域コミュニティにおける活動

     カトリック教会等が,面会交流についての支援を実施し得るが,何ら強制力はない。

  • 居所指定

   共同監護においては,子の居所拠点とみなされる都市は,子の利益によりよい形でかなう都市とされ(民法第1583条第3項),転居先は,「子の利益によりよい形でかなう都市」に制限される。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に,養育費の支払について取決めをすることは義務付けられていない。ただし,実務上は,離婚と子の養育費の支払を一つの訴えとして同時に請求するのが一般的とされている(民事訴訟法第292条)。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    民事訴訟法第528条に,以下のように定められている。

   「養育費が支払われない場合には,裁判官は,当事者の訴えにより,養育費支払の債務者を裁判所に呼び出し,3日以内に支払うよう命じる。債務者が3日以内に支払うか又は支払が不可能であることを証明しないときは,裁判官は,1か月以上3か月以下の拘留を命じ,支払が行われれば釈放する。」

  • 嫡出でない子の親権

   父が子を認知した場合には,両親は共同で家族権を行使する。認知がされない場合には,母が単独で家族権を行使する。

第3 メキシコ

  • 離婚後の監護の態様

   父母は離婚後も共に親権を有するが,監護権についてはいずれか一方の

みが有する。

監護権について,父母が協議を行い,いずれが取得するかを決定するが,合意に至らない場合には,父母,子及び専門家の証言に基づいて民事裁判により決定される。

   財産管理権については,離婚後も父母が共に有する(ただし,いずれか一方の親が親権を法的に停止された場合はこの限りでない。)。

  • 離婚後の監護についての両親の意見が対立する場合の対応

   メキシコ連邦民法第283条に,「離婚の裁定において,子の状況が決定される。裁判官は,親権に固有の権利及び義務,親権の失効・停止・制限,子の監護及び養育に関する全ての事項について裁定を行わなければならない。裁判の過程において,いずれか一方の親から要請があった場合には,家庭内暴力又は措置の必要性を正当化するあらゆる状況を回避するため,父母双方及び子から意見を聴取した上で,上記裁定に必要な事項を収集する。子の意見は常に優先される。いずれの事例においても,子への危険があると判断される場合を除き,子の父母と共に過ごす権利を保護・尊重する。子の保護とは,家庭内暴力行為の回避・是正のために必要な安全,監視,治療に関する措置を含む。」と規定されている。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   子がいる夫婦の場合には,裁判手続を経ずに協議離婚をすることはできない(メキシコ連邦民法第273条)。子がいる夫婦は,裁判所に離婚の申請を行い,子の養育を行う者,養育費の支払方法,父母それぞれの居住地,未成年の子に対して支払われる食費の金額,離婚手続期間における夫婦の財産管理方法について合意しなければならない。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚裁定中に夫婦の間で面会交流に関する合意がされる。合意に至らなかった場合には,裁判官が介入して取り決められる。

  • 面会交流の支援制度

    「家族統合発展システム」という機関が,子との面会交流への同席,実施場所の提供等の支援を行っている。

  • 居所指定

   離婚裁定後,監護権を有する親が居住地の変更を希望する場合には,他方の親の同意を得る必要がある。ただし,メキシコ連邦民法第443条に規定された「子を危険にさらす行動により親権を失っている親」についてはこの限りではない。

  • 養育費
    • 離婚時に取り決めることが義務付けられているか

   離婚裁定中に夫婦の間で養育費の支払に関する合意がされる。合意に至らなかった場合,裁判官が介入して取り決められる。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    公的機関による支援として,裁判所の裁定に基づき,離婚時に合意された養育費を親の給与から天引きするよう雇用主に義務付けるものがある。

また,メキシコ州では,養育費の支払に関する裁定履行のために公務員の給与の一部を差し押さえるための規定がある(州・市政府公務員労働法第

84条第8項)。

  • 嫡出でない子の親権

   親権について,婚姻関係にある父母の子か,婚外子であるかの区別はない。

他方,メキシコ連邦民法第4章「婚外子の認知」第380条には,「同居していない父母が子を認知する場合には,父母のいずれが子の監護権を取得するかについて合意する。合意がされない場合には,管轄の家庭裁判官が,父母及び検察の意見を聴取した上で,子の利益に資する方に監護権を委任する。また,同居していない父母がそれぞれ認知を行った場合には,父母の間で特段の合意がなく,家庭裁判官が重大な理由により変更する必要があると判断しない限りにおいて,先に認知をした方に監護権が与えられる。」と規定されている。

【アジア】

第1 インド[12]

  • 離婚後の親権行使の態様

   離婚後は,原則は単独親権である(判例)。なお,共同監護を認めた判例もある(2013年カルナカタ高等裁判所判決)。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   子がいる場合にも協議離婚が認められている(判例)。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    面会交流については,離婚時に取決めをすることが義務付けられている(判例)。

  • 面会交流の支援制度

    公的機関による面会交流実現のための支援制度はない。

  • 居所指定

   監護親が転居する場合には,他の親に対して通告をし,子の監護や面会交流に影響が出ないようにする必要がある(判例)。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    養育費支払については,離婚時に取決めをすることが義務付けられている(判例)。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    公的機関による養育費支払実現のための支援はない。 

  • 嫡出でない子の親権

   父が婚外子について認知した場合は,母と共同で親権を行使する。

第2 インドネシア

  • 離婚後の監護の態様

   両親は,離婚後も共に親権(インドネシアでは,「養育権」,「養護・教育を施す義務」等の用語で規定されているが,本報告書においては,以下においても「親権」と記載する。)を有し,親は子の法律行為を代理する。

しかし,インドネシア児童保護委員会(KPAI)が扱っている多くのケースでは,養育している親が子に関する事項を決定し,共同で親権を行使することはまれである。共同で行使する場合も,片方の親がより支配的地位を占めており,父母の間で合意に至らない場合には,支配的地位にある親は,その地位を更に強化することを求めることができる。他方の親は,生活費の負担や限られた親権を行使するのみである。ここでいう「支配的地位を占める親」とは,多くの場合,「より経済力のある親」を意味する。

また,離婚問題に関して父母のいずれかの過ちがより大きいということがない場合には,子の名字が判断材料の一つとして利用され,父方が親権を得ることが多い。

  • 離婚後の監護についての両親の意見が対立する場合の対応

   基本的に片方の親がより支配的な権限を与えられるが,最終的には,全ての離婚に関する問題は裁判所によって決定される。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   インドネシアでは,双方の同意に基づく離婚は認められておらず,全ての離婚に関する問題は裁判所によって決定される。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚時に取決めをすることは義務付けられておらず,判決において言及された場合にのみ義務が生じる。

  • 面会交流の支援制度

    通常は国の介入なしに行われ,特定のケースについて裁判所書記官に支援を求める。妨害が存在する場合は,警察や他の法的機関の援助を求めることがある。

  • 嫡出でない子の親権

   婚姻に関する1974年法律第1号第43条によれば,婚外子は,母親及び母系の家族とのみ民事上の関係を持つこととされている。しかし,同条項は,2012年2月17日に憲法裁判所により無効とされた。もっとも,代わりとなる条項は未だ制定されていない。憲法裁判所は,生物学的親子関係が立証されれば,父にもまた責任が生じるとしている。

第3 韓国

  • 離婚後の親権行使の態様

  ・ 2012年4月13日の大審院判決により,共同親権が許容されて以降,両親の同意により,共同親権・単独親権,さらには共同養育など多様な形態を定めることができることとされている。裁判離婚においては単独親権の指定を原則としているが,協議離婚(韓国における協議離婚は,後記3のとおり,裁判所が夫婦の離婚意思の確認をする点で日本のそれとは異なるが,本報告書においては,以下においても,「協議離婚」と記載する。)においては共同親権とする事例が相当数ある。

  ・ 単独親権でも,共同親権でも,親権の効力には変更がない。

  ・ 両親は,離婚に際して,子の養育に関する事項(養育者,養育費,面会

交流に関する事項)及び親権者に関する事項を決定しなければならない。

  • 協議離婚の場合(後記3も参照)

    協議離婚において,子の養育事項についての両親の協議の内容が子の利益に反するとされる場合は,家庭裁判所は両親に協議事項についての補正を命じることができ,両親が補正命令を受け入れない場合には,裁判所は職権で子の養育に関する事項を定めることができる(民法第837条第3項)。また,養育に関する事項の協議が行われず,又は協議をすることができないときには,家庭裁判所は,職権又は当事者の請求により,これらの事項を決定する(同条第4項)。

  • 裁判離婚の場合

    裁判離婚においては,家庭裁判所は職権又は当事者の請求により,養育に関する事項を定める。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 離婚時にあらかじめ紛争解決方法を決定している場合には当該決定に従って解決する。

  ・ 個別の紛争が生じるたびに裁判所が具体的な事案について判断することも可能である。具体的には,離婚時に定めた養育に関する事項について紛争が生じる場合は養育に関する処分の変更請求(民法第837条第5項),親権について紛争が生じる場合は親権者の変更申請(同法第909条第6項)に基づいて,家庭裁判所が変更又は適切な処分をすることができる。

  ・ 家庭裁判所の家事調査官が,裁判長等の命を受け,当事者又は事件関係人の家庭状況等の調査を行う(家事訴訟法第6条)。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   子がいる場合も,協議離婚は認められている(上記1参照)。ただし,協議離婚についても,裁判所が夫婦の離婚意思の確認をしている。

   すなわち,協議離婚においても,離婚意思確認申請と同時又は離婚意思確認期日[13]までに子の養育に関する事項(養育者,養育費,面会交流に関する事項。以上民法第837条第1項,第2項)及び親権者決定に関する協議事

項を家庭裁判所に提出しなければならない(同法第836条の2第4項)。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚時に,面会交流を含む養育事項について取決めをすることが義務付けられている(詳細は上記1参照)。

  • 面会交流の支援制度    ア 父母の教育

     協議離婚の場合には,協議離婚の申請が受け付けられ,協議離婚の案内と子女教育案内に参加した日から3か月の熟慮期間経過後に,協議離婚意思確認期日が開かれる。家庭裁判所は,子女教育案内(父母教育)を義務的に受けさせ,離婚後の子女教育と面会交流のために相談を受けるように勧告している。

   イ 面接交流センター

     ソウル・光州・仁川の各家庭裁判所に面接交渉センターが設置され,センターの外部専門家の相談等を通じて,葛藤を減らし,家族構成員の自立を手助けすることとし,子が両親と面会交流をすることを確保し,子の適応と発達を図り,福祉を向上させるようにしている。

  • 居所指定

   特別な規定はなく,親権の一内容に居所指定権が含まれているということに基づき転居の通知等の必要が生じる。

   離婚後の養育者と親権者とが異なる場合において,養育者が転居をするときには,親権者の同意を得る又は通知を行う等の必要がある。

   また,離婚後,両親共に親権者である場合において,養育者が転居をするときには,共同親権者間で協議をする必要がある。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に,養育費を含めて,子の養育に関する事項について取決めをすることが義務付けられている(上記1参照)。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    以下のように,様々な法律,制度が用意されている。

  • 養育費確保のため「養育費履行確保及び支援に関する法律」が定められている。
    • 「養育費履行管理院」が,養育費関連の相談,養育費請求及び履行確保等のための訴訟支援等の業務を担当している。
    • 一時的養育費緊急支援制度により,養育費未払のために子の福利が

害されるおそれがある場合には,一時的に養育費の緊急支援がされる。

  • 嫡出でない子の親権

   父が子を認知した場合には,父母の協議で親権者を定める。その場合,単独親権・共同親権のいずれも可能である。

第4 タイ14

 1 離婚後の親権行使の態様

  ・ 共同親権・単独親権のいずれも許容されている。

  ・ 親権を有する者は,子の居住地の決定,しつけ及び労働の要求,子を不法に拘束する者からの返還要求に関する権利(民商法典第1567条)並びに子の財産管理権を有する(同法典第1571条)。共同で行使する親権の範囲は,当事者の合意又は裁判所の決定による。

  ・ 具体的な親権者・養育者の決定方法は,協議離婚と裁判離婚とで異なる。

   ① 協議離婚の場合

     親権行使に関して書面による合意を行い,合意がされない場合には,裁判所が決定を行う(同法典第1520条第1項)。合意内容は,養育者及び養育費である(同法典第1522条第1項)。合意がされなかった場合は,裁判所が養育者及び養育費を決定する(同法典第1520条第1項)。

     親権行使は,両親間の合意に従うことになる。当該合意は各地区役場において登記され,関係者が当該合意に従わない場合は,訴訟を通じて解決が図られる。    ② 裁判離婚の場合

     裁判所が子の幸福及び利益を考慮して,親権に関する決定を行う(同条第2項)。少年・家庭裁判所が,調停によって,子の居住地を含めて両親の双方を合意に導き,当該合意を踏まえて,裁判所が決定を行う。子の養育者及び養育費の額については,裁判所が決定する(同法典第1

522条第2項)。

 2 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

   面会交流や養育費に争いがある場合には,次の二つの方法で対応を行う。

  ⑴ 訴訟による解決

   ・ 離婚時の合意又は裁判所の決定に従わない場合には,訴訟による解決を図る(上記1参照)。

     親権の共同行使について,両親の意見が対立する場合には,裁判所が,当事者からの申立てにより,どちらが子の利益になるのかという観点から判断を行う。

   ・ 裁判官の判断を補助するような専門家・スタッフを関与させる制度は

14 ヴィチャ・マハクン(大川謙蔵訳)「タイ家族法(2017-18年版)(3)」戸籍時報

764号2頁以下に条文の邦訳が一部掲載されている。

ない。

  ⑵ 児童保護法第39条による解決

    両親の一方は,社会開発・人間の安全保障省(児童の保護に関して権限を有する機関)に通告をし,同省の職員は,(ⅰ)子に対する非合法な取扱いをしていると疑われる親に対して,助言や警告を出すこと,(ⅱ)親が助言や警告に従わない場合には,当該親を召喚して履行保証(a bond of performance)に服させ,一定の保証金を納付させること,(ⅲ)履行保証に反して履行しない場合には,保証金を没収して,子の養育のために他方の親に支給することができる。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否    子がいる場合も,協議離婚は認められている(上記1①参照)。
  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    面会交流は,「状況が適当と認められる」場合に限り認められる。面会交流の内容について,離婚時に取決めをすることを義務付ける法律の規定は存在しないが,実務上,離婚時に当事者間の合意又は裁判所の決定が行われる(上記1も参照)。

  • 面会交流の実現のための支援制度

    公的機関による支援制度は存在しないが,合意又は裁判所の決定が守られない場合は,訴訟による問題解決を図ったり,児童保護法第39条に基づき社会開発・人間の安全保障省への通告が行われたりする(上記1及び2参照)。

  • 居所指定

   同居親が転居を非同居親に通知する義務等については,民商法典上の規定は存在しないが,離婚時の当事者の合意又は裁判所の決定があれば,その内容に従う(上記1参照)。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に取決めをすることが義務付けられている(上記1参照)。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    公的機関による支援制度は存在しないが,合意又は裁判所の決定が守られない場合は,訴訟によって問題解決が図られたり,児童保護法第39条に基づき社会開発・人間の安全保障省への通告が行われたりする(上記

1及び2参照)。

  • 嫡出でない子の親権

   婚外子については母が単独親権者となるが(民商法典第1546条),父が子として届け出たとき,又は裁判所が父の子と認める判決をしたときには,父母が共同で親権を行使する(同法典第1547条)。

第5 中国

  • 離婚後の監護の態様

    子に対する権限及び義務は,離婚によって変更を生じない。理論的には,父母の離婚後も,父母が監護教育権及び財産管理権の双方を共同行使する。父母は子の「監護者」とされ,「監護者」の責務は,被監護者を管理,教育し,被監護者に代わり民事活動を行い,その人身権,財産権及びその他の合法的権益を保護することとされる。

  • 離婚後の監護についての両親の意見が対立する場合の対応

   個別の紛争が生じるごとに,裁判所が具体的事情を考慮して判断する。

  • 共同親権行使における解決困難な事項

   子に疾病があるなど,父母双方が養育に消極的な態度である案件は,調整が非常に困難である。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否    認められる。
  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め     取決めをすることは義務付けられているが,離婚と取決めの先後関係について特段の規定はない。
    • 面会交流の支援制度

    父母は,社区居民委員会(地域に設置される住民による自治組織),警

察署,全国婦女連合会等の組織や機構の支援を要請することができる。

  • 居所指定

   転居制限はない。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

   取決めをすることは義務付けられているが,離婚と取決めの先後関係について特段の規定はない。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    父母は,社区居民委員会,警察署,全国婦女連合会等の組織や機構の支援を要請することができる。

  • 嫡出でない子の親権

  その父母が親権を行使する。婚外子と嫡出子とで法律上の取扱いに差異はない。

第6 フィリピン

  • 離婚後の監護の態様

    親は,子に対する監護教育権,財産管理権及び法定代理権を有し,父母の婚姻関係解消後も双方が親権を持ち続ける。子がどちらか一方の親と共に生活していても,生活していない親も親権を有する。

  • 離婚後の監護についての両親の意見が対立する場合の対応

   基本的には父側の意見を尊重するが,裁判所が調整するケースも存在する。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   認められていない。キリスト教の影響から離婚制度が存在せず,婚姻関係を解消する制度(Annulment of marriage)しかないが,同制度には必ず裁判所が関与する。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚時に取決めをすることは義務付けられていないが,通常は裁判の際に面会の頻度について裁判官が判断する。

  • 面会交流の支援制度

    面会交流に関する公的機関の支援は特にない。ただし,虐待や育児放棄を受けた子に関しては,社会福祉開発省職員が面会交流に関する支援を行っている。

  • 居所指定

   特に制限はない。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか    義務付けられてはいない。
    • 養育費支払実現のための制度・援助

    公的機関からの支援はない。

【欧州】

第1 イタリア[14]

  • 離婚後の親権行使の態様[15]

   別居・婚姻の解消においても,両親は,親権(イタリアでは「親責任」という用語が採用されているが,本報告書においては,以下においても,「親権」と記載する。)を共同で行使する(民法第317条の3)。原則として,両親の離婚後も双方に子についての義務が帰属する共同分担監護が選択される(同条第1項)。子の利益に反する場合にのみ,単独監護となる(同法第337条の4第1項)。

  • 両親の合意が必要な事項

    子の重要な利益に関わる決定(教育,健康,子の居所の選択)については,両親の合意により親権を行使しなければならない(同法第337条の3)。これらの事項について,両親が合意しない場合には,その決定は裁判官に委ねられる。 

  • 単独での行使が可能な事項

    通常の管理に関する事項が該当する。通常の管理については,裁判官は両親が親権を各々で行使することを決定することができる(同条第3項

4文)。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

   両親が子の重要な問題について合意をすることができない場合には,いずれの親もより適切と考える措置を示して裁判官に訴えることができる

(民法第316条)。

   その場合には,裁判官は,両親及び場合によっては子(12歳以上の子及びそれ以下の年齢でも判断力がある年少者)の意見聴取をし,子の利益と家族の一体性のためにより有益と考える合意案を提示する。それでも両親の合意が得られない場合には,裁判官はその事例に関して子の利益を配慮する上でより適切と考える親に決定の権限を与える。

   裁判官は,決定が困難な場合には,専門的顧問を任命し,子の利益のための特別管財人を指名することができる。

  • 共同親権行使における困難事項

   判断が難しい事案としては,子の居所指定のほか,予防接種の義務,特別な食事の提供,宗教の選択のような問題が挙げられる。重要事項と法律上明示されている事項(訓育,教育,健康,居所の選択)については,一般的に

は問題なく決定が行われているという(民法第337条の3,前記1参照)。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   2014年11月10日の法律により,「支援付きの交渉」の手続が導入された。子の有無にかかわらず,別居や離婚の条件についての合意やその条件の変更の合意を行うために,同手続を利用することができる。双方の弁護士が管理をすることで,交渉が行われる。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

   ・ 民法上,裁判官は「各親と子が過ごす時間と態様,扶養,養育,訓育,教育にそれぞれが関与する手段や方法を決定する」(民法第373条の3第2項)と定められている。判例上は,通常の家庭生活に干渉せず,子の監護が認められた親の下で年少者の居住を維持することができる

という留保の下,非監護親と子の面会交流が認められるとされている。

   ・ 両親は,別居,離婚又は同居の終了時に,面会交流について取決めをすることが義務付けられている。その内容は,当事者の合意によるが,当事者が合意をしない場合には,裁判所が決定する(同条)。当事者の合意についても,裁判官が,当該合意が子の利益を害さないかを審査し,子の利益を害さない限り,両親の合意を認可する。

  • 面会交流の支援制度

    両親への支援講習,家族への仲裁,家族セラピー等の制度が存在し,両親がこれらの制度を選択することができる。

  • 居所指定

   未成年者の居所は,両親の別居・離婚の際にも,両親の合意の下に決定されなければならない(民法第337条の3第3項)。合意が得られない場合には,裁判官に判断が委ねられる(上記2も参照)。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に養育費の支払について取決めをすることは義務付けられていない。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    養育費の不履行を防止するために,不履行の危険がある場合には,親に人的・物的保証を供与する義務を負わせている(民法第156条第4項,履行法第8条第1項)。

  • 嫡出でない子の親権

   嫡出でない子についても,認知がされれば,両親が共同で親権を行使することとなる。

第2 イギリス(イングランド及びウェールズ)

 1 離婚後の親権行使の態様

  ・ 離婚後も,両親のそれぞれが,子に対して親権(イギリスでは親責任(parental responsibilities)という用語が採用されているが,本報告書においては,以下においても,「親権」と記載する。)を行使する。なお,親権を有する者は,原則として,それぞれ単独でその親権を行使することができる。

  ・ 両親は,離婚時に,子が誰と住むか,子が誰といつ一緒に過ごすか,子の養育に関する経済的な負担等,親権の行使の具体的な方法について,調整又は取決めをする。この調整又は取決めは,①両親の合意によってすることができるが,合意が成立しない場合には,②調停による調整が行われ(2014年子及び家族法第10条),③調停が成立しない場合には,両親は,裁判所に,子に関する取決決定の申立てをする(1989年児童法第8条)。なお,裁判所は,両親の合意を促し,これにより両親間において合意に達し,かつ,当該合意内容が子の福祉にとって問題がないと認められる場合には,手続を中止する。

  ・ 子に関する取決決定においては,子が誰と住むか,子が誰といつ一緒に過ごすか,誰といつ面会するのかについて定められる。そのほか,裁判所は,申立てにより,親権の行使に際して生じた又は生じ得る特定の事項

(子の氏の変更等)に関する決定や禁止措置決定をすることができる。

  ・ 決定においては,子の意思・意見,子の身体的・心情的・教育的な必要性,環境の変化が子にもたらす影響,子の年齢・性別・性格・生育環境,子への危険性,子の要求に対する親の適応能力,裁判所の決定の実効性等が考慮される(同法第1条(3))。

 2 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 親権の行使について争いがある場合には,裁判所が決定をする(上記1参照)。

  ・ 裁判官は,決定の審理に際して,証拠に基づく事実認定をするが,その際に証拠書類だけでなく,証人尋問が行われる。証人尋問は医師や心理学者,教育学者等の専門家証人によって行われることもある。

  ・ 子の福祉に関するサービス(子の福祉の促進,裁判所への情報提供,当事者に対する手続に関する助言等)を提供するCAFCASS(Children and Family Court Advisory and Support Services,司法省が所管する

政府外公共機関)が,子や家庭に関する手続についての助言や支援をする。

裁判所は,CAFCASSの職員に対して,子に関する調査及び報告を命じ,その報告内容を参考にして決定をすることもできる。

  ・ なお,両親間での取決めや裁判所の決定に対して,両親の一方が従わない場合は,裁判所に対して執行命令の申立てをすることができる。執行命令に従わないと,合理的な理由を説明しない限り,法廷侮辱罪に問われ得る。

  • 共同親権行使における困難事項

  ・ 例えば,子をどこの学校に通学させるかという問題があり得る。

  ・ その他,一般的に,判断が困難で,決定までに時間がかかる案件としては,①医療記録や警察記録の入手が必要となる事案17,②争点が複数あり証拠量が膨大な事案,③国際的な要素を含む事案が挙げられている。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   未成年の子の有無にかかわらず,協議離婚は認められず,裁判所の決定が必要である(1973年婚姻事件法第1条)。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    面会交流は認められているが,判例上,親の権利ではなく,子の権利とされている。両親は離婚後も親権を保持していることから,親の責務の一環として,子と面会交流をすることになる。面会交流は,離婚の合意又は裁判所による子に関する取決決定に従って行われることになる(決定方法については,上記1及び2参照)。なお,離婚時に面会交流について取決めをすることは義務付けられていない18

  • 面会交流の支援制度

   ・ 両親間の対立が激しい,交流が断絶している等,何らかの理由で,両親が子との面会交流を実行することができない場合には,CAFCA

SSの家庭裁判所アドバイザーが提供するCCIs(Child Contact

Interventions)を利用することができる。CCIsは,担当者による監督の下,面会センターで子との面会を実施したり,両親に対して将来の面会交流の調整を促したりする。

  1. これらの情報は,個人情報保護の観点から,裁判所による命令がないと入手することができず,入手まで相当の期間を要する。
  2. 1973年婚姻事件法においては,離婚時に,子の福祉に関する取決めがされていない限り,離婚判決をすることができないとされていたが,2014年に当該条文が削除された。

  ・ また,面会交流の取決決定に従わないことは,法廷侮辱罪に該当し得る(上記2参照)。

  • 居所指定

   親権を有する者は,原則として,他の親権者の同意なく親権を行使することができる(上記1参照)。したがって,子の監護教育のために,子と共に転居することについて,他の親権者から同意を得る必要はない。ただし,子を外国に連れて行く場合には,法律上,親権者全員から同意を得なければならない(1984年児童誘拐法第1条)。もっとも,1か月以内の旅行であれば,子と同居する親は,他の親権者の同意なく子を外国に連れて行くことができる。

  • 養育費

  ⑴ 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に養育費の支払について取決めをすることは義務付けられていない19

    養育費の決定方法としては,両親間で合意する,公的行政機関のスキームを利用する,又は裁判所の命令を取得するという三つの方法がある。公的行政機関によるサービスは以下の三つのものがある。

  • 養育費算定のための計算式の提供

     子の人数,受給している手当,収入等必要事項を入力することで,養育費の額を自動で計算することができる計算式が提供されている。これにより,両親は養育費の額についての目安を知ることができ,目安に基づき養育費の取決めを行うことが可能になる。

  • CMOによる情報提供

     CMO(Child Maintenance Option)という行政機関において,養育費の取決めに必要な情報提供等を行い,両親間の合意を促す。

  • CMSの利用(合意が成立しない場合)

     CMS(Child Maintenance Service)が,養育費の取決めのみならず,所在不明となった親の探索,養育費の支払に関する法的執行力の付与,徴収,養育費の見直し,養育費の不払への対処等を行っている。ただし,同サービスの利用には,利用料がかかることから,政府としては,

CMSの利用よりも,両親の合意による養育費の取決め及びその自主

  1. 1973年婚姻事件法においては,離婚時に,子の福祉に関する取決めがされていない限り,離婚判決をすることができないとされていたが,2014年に当該条文が削除された。

的な支払又は直接徴収による方法を利用することが望ましいとしている。

  ⑵ 養育費支払実現のための制度・援助

    上記⑴ウのCMSが,養育費徴収のためにも用いられる。

  • 嫡出でない子の親権

   一定の事情がある場合[16]には,父親にも親権が認められる(1989年児童法第2条(2))。

第3 オランダ

  • 離婚後の親権行使の態様

   両親は,離婚後も共同して親権を行使することが原則である(民法第251条第2項)。単独親権にするためには,両親の一方又は双方の申立てに基づく裁判所の決定が必要であるが,厳格な規定が存在する(同条a)[17]

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 両親の一方又は双方の申立てに基づき,地方裁判所において決定がされる(民法第253条a)。地方裁判所は,親権の行使に関する調整をすることも可能である。具体的には,子の監護及び養育義務を各親に分配すること,子の最善の利益に資する場合には一方の親との接触を一時的に禁じることなどができる(同条a第2項参照)。

  ・ 裁判所は上記決定の前に,両親に和解勧試をすることも可能である。また,和解が不可能な場合には,裁判所の職権又は両親の申立てに基づき,子の利益に反しない限り,法的な強制措置を課すか,又は裁判所の命令が即時の効力を有する旨の決定をすることができる(同条a第5項)。

  ・ 裁判所は,子の保護のための関係機関であるCPA(Child Protection

Agency)に追加の調査を求めることもできる。

  • 共同親権行使における困難事項

   子の居所に関する紛争が典型例である。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   未成年の子の有無にかかわらず,当事者の合意のみの協議離婚は認められず,離婚は常に裁判所においてされる。離婚時に子がいる場合には,離婚

請求は,養育計画(parental plan)の提出と共にされなければならない。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    面会交流の具体的な内容は,養育計画(上記4参照)において定めることが必要であり(民法第815条第3項a),離婚時に取決めをすることが義務付けられている。

  • 面会交流の支援制度

   ・ 面会交流に何らかの妨害があった場合には,面会は監督下に置かれ得る。オランダには,面会交流・調整を監督する組織(通称「Contacthouses」)が複数あり,面会交流を一時的に監督している。

     また,面会交流に障害が生じた場合には,当事者は,仲裁等のADRを通じて,現在及び将来の障害を取り除くことができる。

     これらの手続は,当事者の任意又は社会福祉士(social worker),医師,法律家若しくはYouth Care Officeの助言に従ってされる。裁判官も仲裁手続を活用することができる。

   ・ CPAは,裁判官の求めにより面会交流を再開するための助言等を行わなければならない。

   ・ 裁判官は,面会交流の障害が事実上のものであるのか,又は両親の紛争によるものであるかを審査するため,試行的な面会交流をさせることできる。

  • 居所指定

   同居親が子と共に居所を変更しようとする場合には,他方の親の同意を

得る必要がある。同意が得られない場合には,裁判所に判断が委ねられる。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    養育費については,養育計画(上記4参照)において定めることが必要であり(民法第815条第3項c),両親は離婚時に取決めをすることを義務付けられているといえる。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    子の養育費が,過去6か月間において1度も支払われない場合には,子等の申立てに基づき,国家養育費徴収庁(National Maintenance

Collection Agency)により,養育費の回収に向けた手続が進められる(同法第408条参照)。

    具体的には,養育費支払義務者に対しては,支払が未了であり支払額が増額となる旨の通知が発せられ,通知から14日が経過した後に養育費の回収が執行される(同条第5項)。

  • 嫡出でない子の親権

   子を認知した者が子の母と共に裁判所に対して親権に関する申出をした場合に,当該者も共同で親権を行使することとなる(民法第252条,第253条b,第253条c参照)。     

第4 スイス22

  • 離婚後の親権行使の態様

  ・ 別居時・離婚後も共同親権を原則とし,単独親権は例外となる(民法第296条第2項)。単独親権となるのは,子の幸福を確保する上で必要な場合に限定される(同法第298条第1項,第298条b第2項,第298条c)。共同親権を有する親が別居する場合には,養育について決定する必要があり,単独養育又は交互養育が行われる。

  ・ 親権の内容である子の居所の決定,扶養・養育の実施,第三者に対する子の代理,子の財産管理の全てが共同親権の対象となる。基本的には,全ての内容を両親が共同で決定することが必要であるが,両親が別居しており,話合いをすることが難しい場合には,子を養育する一方の親が単独で,必要な又は急を要する事項について決定し,他方の親が合理的な異議を申し立てないことをもって有効とする措置が認められている(同法第

301条第1項)。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 子の養育をめぐり両親の意見が対立し,子の幸福が脅かされる場合には,裁判所は,離婚調停又は離婚判決の変更手続において,子の保護措置を講じることができる。

  ・ なお,裁判所は,離婚調停において決定を下す際に専門家に鑑定を求め

ることができる。児童保護所が担当するケースにおいても同様である。

  • 共同親権行使における困難事項

   子の信仰上の教育について両親の考えが一致しない場合が該当する。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

  ・ 未成年の子の有無にかかわらず,協議離婚は認められておらず,裁判手続が必要である。夫婦が合意に基づいて離婚を望む場合も,裁判所の承認が必要であり,裁判所は,当該合意が自由意思に基づき,熟考及び子の扱いに関する合意を経て承認可能となることを説諭する必要がある(民法第111条)。

  • 離婚後の面会交流

  ⑴ 面会交流についての取決め

22 条文訳は,松倉耕作「共同配慮権とスイス新法」名城ロースクール・レビュー31号1

45頁以下参照。

  ・ 面会交流の方式については,離婚手続において,裁判所によって決定される(民法第133条)。

      ・ もっとも,面会交流が子の福祉を制約する場合には,両親は,両親間の合意に基づく裁判所の決定に拘束されない(ただし,当該決定に法的拘束力がなく,実現性が確保されない場合に限られる。)。一方の親が他方の親の意思に反して面会交流に関する新たな決定を求める場合に

は,児童保護所が申請に基づいて決定する(同法第275条第1項)。

      ・ 面会交流が子の幸福を阻害する場合には,児童保護所は,両親に対して警告又は指導を行うことができる。また,児童保護所は,面会交流の適切な実施のために後見人を任命することができ(同法第308条第2項),面会交流権を制限,拒否又は剥奪することもできる(同法第2

73条第2項,第274条第2項)。

  ⑵ 面会交流の支援制度

  • 民間又は公共の機関により,両親のための教育コースが提供される。
  • 両親は児童保護所に支援を求めることもできる。面会交流の実施や不実施が子に否定的に作用する場合には,児童保護所は両親や子に対して警告又は指導をすることができる(同法第273条第2項,上記⑴ 参照)。
  • 裁判所や児童保護所が,立会人を付した面会交流等,特別な方式を命じることも可能である。裁判所又は児童保護所は,立会人を任命することができ(同法第308条),同制度の枠内で民間の機関が立会人や面会場所を提供することもできる[18]
  • 居所指定

   居所指定権は親権の一内容であることから(民法第301条a第1項),共同親権下においては,一方の親が,子の居住地を外国等,他方の親による面会交流の実施に著しい影響を及ぼす場所に変更したい場合には,他方の親の同意を要する(同条 a 第2項)。他方の親が同意しない場合には,裁判所又は児童保護所が決定を行う。

   なお,一方の親が(親権を喪失することなく)居住地決定権を喪失する場

合,又は親権を有しない場合には,当該親による同意及び裁判所・児童保護所による決定は不要であるが,当該親に対し,適時に居住地の変更の通知をすることは必要である(同条a 第3項)。

  • 養育費(養育費支払実現のための制度・援助)
    • 行政による支援措置

    養育費の支払義務を負う親が当該義務を履行しない場合には,州法が指定する部局が,子又は他方の親の要請に基づき,適切な方法により無償で義務の履行を支援する(民法第290条第1項)。

  • 司法による支援措置

    両親又はそのいずれか一方が義務を怠る,逃避を企図する,又は財産を浪費する場合には,裁判所は,当該親の債務者(雇用者など)に対し,支払の全部又は一部を子の代理人に対して直接支払うことを命令することができる(同法第291条)。

  • 嫡出でない子の親権

   父が子を認知する場合には,両親による宣言に基づき,共同親権が発生する(民法第298条 a 第1項)。裁判により父子関係が確定する場合には,当該裁判と同時に共同親権が発生する(同法第298条1c)。

第5 スウェーデン[19]

 1 離婚後の親権行使の態様

  ・ 離婚後も,両親が合意をすれば,親権を共同行使するものとすることができる。

  ・ 両親が親権を共同行使する旨の合意をしない場合は,①裁判所に決定を求めて申立てをするか,②両親のそれぞれが親権を保持したまま,親権の

行使について争いが生じたときは両親の合意により解決することになる。

    ①裁判所が決定をする場合には,両親が合意可能な解決を追求することが目的とされ,子の最善の利益が最も重視される。両親との緊密で良好な交流のための子のニーズに対する特別の注意が必要とされ,両親の一方が他方の親と子との交流をどの程度認めるかということも考慮しなければならない。

    ②両親の合意による解決を図る場合には,社会福祉委員会が当該合意を承認する必要がある。社会福祉委員会の承認がされた場合には当該合意は法的拘束力を有するため,合意は両親の署名の付された書面により作成されなければならない。なお,社会福祉委員会は,合意された内容が子の最善の利益にかなうものである場合,又は合意が共同親権を目的とするときにはこれが明らかに子の最善の利益と相いれないものでない場合には,その合意を承認しなければならない。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 上記1①②も参照。

  ・ 共同親権は,両親が対立せずに子に関する問題の解決に協力することを前提としていることから,裁判所は,両親の協力能力を特に考慮しなければならない。

  ・ 裁判所は,決定以前に親権,居住地及び連絡先に関する問題が適切に調査されていることを確認しなければならない。また,裁判所は,社会福祉委員会に対し,必要な情報の提出の機会を与えなければならず,また,社会福祉委員会に対して調査を指示することができる。社会福祉委員会は,通常,子及び親の両者と面接を実施する。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   いかなる場合も協議離婚は認められておらず,裁判手続が必要である。  4 離婚後の面会交流

  • 面会交流についての取決め

   ・ 面会交流は認められているが,離婚時に面会交流について取決めをすることは義務付けられていない。

   ・ 面会交流は,子の利益及びニーズに基づき,その具体的内容が決定される。面会交流は親についての無制限の権利というわけではなく,非同居親は,子のニーズを確実に充足する責任を負う。

  • 面会交流の支援制度

    裁判手続前又は裁判手続中の支援と,裁判手続終了後の面会交流が円滑に実施されることが目指されている。    ア 裁判手続前・裁判手続中の支援措置

     社会福祉委員会が,裁判手続前又は手続中に両親間の協力のための協議を打診する。この協議は専門家の指導の下で実施され,親権,居住地及び連絡先(交流)に関する問題について合意することを目的としている。地方公共団体は,両親間の協力のための協議を無料で実施する責任を負う。

   イ 裁判所の決定

     裁判所は,面会交流について,社会福祉委員会により任命された者が支援しなければならないと決定することができる。また,面会交流は両親にとって中立的な場所で実施されなければならないと決定することもできる。

  • 居所指定

   親権の単独行使が採用されている場合には,親権者が子と共に転居をするに当たり他方の親の同意が必要であるという法的制限はない。ただし,いずれの親も,子が他方の親と交流するニーズを確実に充足する責任があることには注意が必要である[20]

   他方で,親権の共同行使が採用されている場合には,同居親が子と共に転居をするに当たり非同居親の同意が必要である。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

   ・ 離婚時に養育費について取決めをすることは義務付けられていない。   ・ 両親の離婚後に,子がいずれの親ともほぼ同程度に緊密に生活する場合には,いずれの親も養育費を支払う必要はなく,いずれかの親が他の親よりも子とより緊密に生活する場合には,各親は養育費の金額について合意することができる。その金額については,裁判所が決定することもできる。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    養育費支払実現のための直接的な制度というわけではないが,両親の一方が養育費を支払わない場合には,保護費(親が低所得である場合に,子が国から受領し得る費用)が同居親に支払われることもある。この場合には,国は養育費を支払わない非同居親に対し,保護費分を求償することができる。

  • 嫡出でない子の親権

   両親は,社会福祉委員会又は税務当局への共同の申請により登録されれば,嫡出でない子について,親権を共同行使することができる。母が親権の共同行使に同意しない場合に,子の父が母による親権行使の在り方を争うためには,裁判所に申立てをしなければならない。

第6 スペイン

  • 離婚後の親権行使の態様

   両親はいずれも,離婚後も親権を有することができる(民法第92条第1項)。ただし,子の利益を考慮して,当事者の合意又は裁判所の決定により,単独親権とすることもできる(同条第4項)。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 民法第156条により,以下のように定められている。

  • 両親の意見が一致しない場合には,両親のいずれも裁判所に訴える

ことができ,裁判官は,両親のいずれか一方に決定権限を付与する。

  • 両親間の意見の不一致が繰り返される場合又は親権の行使が重大に遅延される事由が存在する場合には,裁判官は,両親のいずれか一方に親権の全部又は一部の行使を認めるか,又は両親のそれぞれに行使すべき親権を分配することができる。このような措置の有効性は,裁判官が定める期間内に限られ,また,当該期間は2年を超えることができない。

  ・ 裁判官の判断を補助するために,裁判官は,「自己の権限で又は父母の一方の要請により,適切な資質を有する専門家に対し,親権の行使の態様の適切性及び未成年の子の監護の態様に関する見解を求めることができる。」(民法第92条第9項)

  • 共同親権行使における困難事項

   学校の選定,洗礼等の宗教儀式,特別な出費等が該当する。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   我が国のような協議離婚は認められず,裁判所が関与し,夫婦間の離婚協定を裁判官が承認するという形で離婚が認められる。当該手続は未成年の子がいる場合にも認められる。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    面会交流の内容について,離婚時に取決めをすることは義務付けられていない。

  • 面会交流の支援制度

    州や市が「家族支援センター」を通じて支援を実施している。

  • 居所指定

    転居は,親権の行使に影響することから,他方の親の同意が必要となり,同意が得られない場合は,裁判官の判断に委ねられる。また,裁判官は子の居住地の変更前に,当該変更を阻止する決定を行うことができる(民法第1

58条)。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に養育費について取決めをすることは義務付けられていない。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    州や市が「家族支援センター」を通じて支援を実施している。

  • 嫡出でない子の親権

   認知等により法的な親子関係が確定した場合には,確定した親が親権を行使することになる(民法第108条,第120条)。

第7 ドイツ

  • 離婚後の親権行使の態様

  ・ 両親は離婚後も親権(ドイツでは「親の配慮」という用語が採用されているが,本報告書においては,以下においても,「親権」と記載する。)を共同で行使することが原則であり(民法典第1687条),一定の場合に,単独親権とすることが認められている。具体的には,両親間の協議により,一方の親への権限委譲を行うことができる。協議が調わない場合は,申立てに基づき,家庭裁判所が決定する。権限委譲は,親の一方が同意しており,かつ14歳以上の子が反対していない場合,又は共同親権の終了や申立人への委譲が子の福祉にかなうと期待される場合に認められる(同法典第1671条第1項)。

  ・ 共同親権の場合には,子にとって著しく重要な事柄[21]の決定には両親の合意が必要である(同法典第1687条第1項第1文)。子の日常生活に関する事柄については,同居親が単独で決定する権限を有する(同項第2文)。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 子にとって著しく重要な事柄について両親間で合意に至らない場合には,家庭裁判所は,両親の一方の申立てに基づき,両親のいずれか一方に決定を委ねることができる(民法典第1628条)。この場合には,それぞれの親の子に対する権利及び義務の適切な行使のため,親の一方は他方に対して情報を要求することができる(同法第1686条)。

  ・ 両親が離婚(別居)をする際は,子の将来の養育,教育,監督をいかに保証するかについて合意しなければならないが,その際,例えば,子の居所について合意をすることができない場合には,両親は,いずれも自己に親権の全部又は一部,例えば子の居所指定権を自己に委譲するよう申し立てることができる(同法第1671条)。この申立ては,共同親権の終了や申立人への居所指定権の委譲が子の福祉にかなうと期待される場合に認められる(同条第1項)。

  ・ 裁判所は判断の際に,少年局から意見を聴取し,また,専門家の支援を受けることができる。

    少年局は,子に対する保護が問題となる事案の全てにおいて家庭裁判

所を支援する。少年局の使命は,子の置かれた状況の改善への寄与であり,提供可能なサービスに係る情報を提供し,子の成長のための教育的・社会的観点を示し,また,様々な可能性を指摘する。

    裁判所は,鑑定を命じることもできる(家庭事件及び非訟事件の手続に関する法律第163条)。鑑定は適切な専門家により行われる必要があり,専門家は少なくとも心理学,心理療法,児童・少年精神学,精神学,医学,教育学,社会教育学の職業資格を有するべきものとされる。

  • 共同親権行使における困難事項

   困難事案としては,子の居所指定をめぐる問題が挙げられる(上記2参照)。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   子の有無にかかわらず,離婚は夫婦の一方又は双方からの申立てに基づく裁判所の決定によってのみ行われる(民法典第1564条)。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚時に面会交流の内容について取決めをすることは義務付けられていない。

  • 面会交流の支援制度    ア 両親への援助

     別居・離婚した両親は,予防的な家族関係相談,パートナー関係紛争相談を求めることができる(社会法典第8編第17条第1項)。援助人は,両親が子を保護する責任を遵守することができるように支援をするところ,これには面会交流の調整も含まれる。

     また,両親は,面会交流の実施について,少年局又は民間機関の助言や支援を受けることができる。支援としては,面会交流の取決めの仲介,実施の仲介,又は面会交流の際の付添いを受けることができる。

   イ 子への援助

     子は,面会交流の実施に際し,少年局又は民間機関の助言・支援を受けることができる(同法典第18条第3項第1文)。子は,この支援を年齢や発達段階に応じて受けることができる。

  • 居所指定

  ・ 子の転居は,子にとって著しく重要な事項に該当し,両親の合意がなければ認められない(民法典第1687条第1項第1文,上記1参照)。ただし,子の生活が専ら両親の一方の家計に基づいて形成されている場合には,当該親は,共同親権を有する他方の親の同意がなくても,都市の管轄区域内では転居することができる。また,単独親権の場合又は居所指定権を単独で行使可能な場合には,他方の親の同意は不要である。

  ・ 子の転居について両親間で合意に至らない場合には,少年局に助言・支援を求めることができる(社会法典第第8編,上記5も参照)。

  ・ 仮に少年局の援助によっても両親が合意に至らない場合には,両親はいずれも,家庭裁判所に対し,自己に当該転居の決定権限を委譲するよう(同法第1628条),又は必要と認められるときは居所指定権の委譲を申し立てることができる(同法第1671条第1項)。裁判所はこうした申立てについての判断に際して,現実の状況及び関係者の正当な利益等

を考慮し,子の福祉にとって最適な決定を行う(同法第1697条a)。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に養育費について取決めをすることは義務付けられていない。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    少年局による広範な援助が存在する(少年局については,上記2及び5

⑵も参照)。

  • 養育費の金額決定や,対話を通じた関係者間の合意形成を対象とする。
    • 養育費に争いが生じた場合には,援助人は養育費をめぐる裁判手続において子を代理する。
    • 養育費支払義務者が義務を履行しない場合には,強制執行(例えば賃金差押え)についても援助が行われる。
    • 裁判上認められた養育費請求権が変更されるべき場合にも,援助は行われる。養育費支払義務者の収入額が変化した場合には,援助人は子の福祉のため,養育費の金額引上げを求め,又は支払義務を負う親からの養育費の金額引下げ要求に対して,子を代理して対応する。

    なお,援助人は少年局により提供されるボランティアであり,サービスは無償である。

  • 嫡出でない子の親権

   原則として母の単独親権であるが,両親が共同で親権を行使することを希望する旨を表明したとき,両親が婚姻したとき,又は家庭裁判所が両親に親権を委譲するときに共同親権となる。

第8 フランス

  • 離婚後の親権行使の態様

   離婚後も原則として両親が共同して親権を行使する(民法典第373-2条第1項)。例外として,子の利益に必要な場合には,家事事件裁判官は,離婚後の親権行使を両親の一方に委ねることができる(同法典第373-

2-1条第1項)。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 親権行使について両親が合意しない場合には,両親の一方又は検察官は,家事事件裁判官に申立てをすることができ,裁判官は親権行使の態様について決定することができる(民法典第373-2-8条)。裁判官は,当事者を勧解させるように努めるほか(同法典第373-2-10条第1項),両親に調停を提案し,両親の同意を得て家事調停者を指名することができる(同条第2項)。

  ・ 裁判官の判断への専門家の関与としては,以下の二つが挙げられる。家事調停者が指名された場合には,家事調停者が必要に応じて両親と面会し,両親に対し,調停の目的や進行について情報提供を行う(同条第3項)。

家事調停者は,両親と面会し,その議論に参加することで,両親が合意に基づいて親権行使を行うことができるようにするための役割を担う。

    裁判官は,社会調査官に対して,家族状況,生育・育成状況に関する情報を調査する社会調査を命じることができる(同法典第373-2-11条第5号,第373-2-12条)。社会調査官は,近隣住民や通学先の学校に照会するなどして必要な情報収集を行う。

  • 共同親権行使における困難事項

   個別の事案によるが,居所の形態のほか,子の教育方針が該当する。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   未成年の子がいても,一定の要件を満たせば協議離婚が認められる。

   2015年の法律により,協議離婚(相互同意離婚)が広く認められることになった。両親は,裁判官による聴聞を受ける権利について通知を受けていた子が当該聴聞を求めた場合を除き,協議離婚を行うことができる(民法典第229条,第229-2条第1号,第388-1条)。なお,協議離婚といっても,裁判所が関与しないということであり,弁護士の連署又は公証人による原本証明を経た私署証書による必要があり,法律の専門家の関与はある。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚時に面会交流の態様について取決めをすることが法的に義務付けられているわけではないが,両親は離婚時に面会交流の態様について合意し,家事事件裁判官がこれを認可することができる(民法典第286条,第373-2-7条)。また,両親の一方又は検察官の申立てに基づき,裁判によって定めることもできる(同法典第373-2-8条)。さらに,両親が合意をせず,子の居所が両親の一方の住所に定められたときは,家事事件裁判官は,面会交流の態様について定める(同法典第373-2-9条第3項)。仮に単独親権となっても,親権を有しない親による訪問権及び(子を)宿泊させる権利の行使は,重大な事由による場合を除き,他方の親には拒否され得ないとされている(同法典第373-2-1条第

1項)。

  • 面会交流の支援制度

   ・ 面会交流の態様について争いがある場合には,裁判官は,両親の合意を促し,また,両親の同意を得て家事調停者を指名することができる

(上記2も参照)。

   ・ 裁判官は,面会場における訪問権の行使を定めることができる(同条第3項)。面会場は,臨床心理学者,家族臨床医,ソーシャルワーカー等によって設けられ,訪問権の行使に際し,子を保護し,両親に安心感

を与え,自立し,かつバランスのとれた関係を築くための場所である。

   ・ 子の利益に鑑み必要な場合又は他方の親への子の直接引渡しに危険がある場合には,裁判官は,子の引渡しが面会場において,又は信頼できる第三者若しくは資格を有する法人の代表者の援助を受けてされるべきことを定めることができる(同条第4項)。

  • 居所指定

   離婚した両親の一方は,親権の行使の態様を変更するような住所変更をする場合には,事前かつ適時に他方の親に対して通知をしなければならない(民法典第373-2条第4項)。

  • 養育費(扶養定期金)
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に扶養定期金について取決めをすることが法的に義務付けられているわけではないが,両親は離婚時に扶養定期金について合意し,家事事件裁判官がこれを認可することができる(民法典第286条,第373-2-7条)。また,扶養定期金については,両親の一方又は検察官の申立てに基づいて裁判によって定めることができる(同法典第373-2-8条)。決定における家事調停者の援助等は,面会交流の場合と同様である。

  • 扶養定期金支払実現のための制度・援助

   ・ 扶養定期金の債権者は,扶養定期金の直接弁済手続により,金額が確定し,かつ,期限が到来した債務を負う第三債務者に対して,その定期金を直接取り立てることができる(民事執行法典L13-1条)。

   ・ 債権者は,直接弁済手続等の他の私法上の執行手続を試みたにもかかわらず扶養定期金の全部又は一部を得られなかった場合には,扶養定期金の公的取立制度を利用することにより,債権者に代わり国庫の公会計官をして執行力を有する判決等によって定められた扶養定期金の取立てを行わせることができる(扶養定期金の公的取立てに関する1

975年7月11日の法律75-618号)。

  • 嫡出でない子の親権

   父子関係が成立すれば,原則として両親の共同親権となるが,親子関係の成立が子の出生から1年以上経過した後である場合などは,単独親権となる(民法典第373条第2項)。ただし,この場合も,父母の共同の申立て

又は家事事件裁判官の決定に基づき,共同親権が認められる(同条第3項)。

第9 ロシア

  • 離婚後の親権行使の態様

   離婚後も両親が共同で親権を行使する。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

   子の養育に関する問題を裁判所が決定する際,後見・保佐機関が裁判官の判断を補助する役割を担っている。同機関は事件に参加し,当事者の生活状況を調査し,紛争内容に関する意見を裁判所に提出する義務を負う(家族法典第78条)(後記4も参照)。

  • 共同親権行使における困難事項

   夫婦が話合いを拒否している事案や,今までの主な監護者の認定が困難な事案では,判断が難しいとされている。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   未成年の子がいる場合は,協議離婚は認められず,離婚は裁判手続で行われる(家族法典第21条)。

   離婚裁判において,親権に関する取決めも調整・決定されるが,大多数の事案においては,事前に夫婦間で協議・合意の上,書面での取決めが行われている。仮に親権に関する紛争が離婚裁判で解決されない場合には,後見・保佐機関の関与も得て,子の利益に係る個別的な裁判手続が行われる。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

    離婚時に面会交流について取決めをすることは義務付けられていないが,取決めを行っていれば,離婚裁判の審理に際し,裁判所に提出することができる(家族法典第24条)。

  • 面会交流の支援制度

    面会交流に限らず,取決め事項や法的に決定された事項が実現されない場合には,裁判実施前に裁判所職員(執達吏)が不履行者に対し,不履行によりもたらされる具体的な不利益(裁判所が強制執行を含む不利な決定を下す可能性の示唆)を説くなどして,履行することの重要性につき説明を行う。

  • 居所指定    同居親が転居する場合に他方の親の同意を要するなど,何らかの制限を規定している法律はない。ただし,実務上,両親が離婚時に取り決める親権行使の手続についての書面(上記4参照)に,転居に関する同意事項を盛り込み,何らかの制限や通知義務を設けるのが一般的である。
  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    離婚時に養育費について取決めをすることは,法的には義務付けられていないが,取決めを行っていれば,離婚裁判の審理に際し,裁判所に提出することができる(家族法典第24条)。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    養育費について独自の制度はなく,取決め事項や法的に決定された事項が実現されない場合の対応方法により,支払実現を図っている(詳細は上記5⑵参照)。

  • 嫡出でない子の親権

   父が子を認知した場合には,父母が共同で親権を行使することになる(家族法典第53条)。

【オセアニア】 ― オーストラリア[22]

  • 離婚後の親権行使の態様

   裁判所による命令がない限り,離婚後も,両親が子に対して親権を有する(家族法第61C条。なお,オーストラリアでは,「親権」ではなく,「親責任(parental responsibility)」という用語が採用されている。親責任とは,親が子に対して有する全ての義務,責任及び権限であるが(同法第61B条),本報告書においては,以下においても,「親権」と記載する。)。特に,裁判所による養育命令(parenting order)により,両親の均等な親権が定められた場合には,両親は子の重要な長期的事項(どの学校に進むべきか,医療上の決定等)について,協議の上,共同で決定をしなければならない(同法第65DAC条)。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

  ・ 両親が子の養育について合意をすることができない場合には,裁判所は,子の最善の利益に基づいて,養育命令を発することができる(家族法第60CA条)。裁判所は,子の最善の利益を考えるに当たって,①子を肉体的及び精神的害悪から保護する必要性及び②両親双方と有意義な関係を有することによる利益という二つの要素について優先的に考慮する(同法第60CC条第2項)。

  ・ 裁判所は,原則として,両親が均等に親権を有することが子の最善の利益であるとの推定に基づかなければならないが(同法第61DA条),親による家庭内暴力や子に対する虐待があると信じるについて相当の理由がある場合は,この限りではない。

  ・ 裁判所は,子にとって最も適切な判断をするために,子及び家族についての専門性及び経験を有するソーシャルワーカーや心理学者を,家族コンサルタントとして指名することができる。家族コンサルタントの中心的な仕事は,裁判所に対して報告書を提出することである。その他,家族コンサルタントは,当事者や裁判所に対して援助・助言を行ったり,裁判所に証拠を提供したりすることができる。

  ・ 裁判所は,子の専属弁護士(Independent Children’s Lawyer)を指名することもできる。子の専属弁護士は,子の法的な代理人ではないから,子の指示に従う必要はなく,子から独立して,子の最善の利益のために行動をする。裁判所は,子の専属弁護士の見解を重視するという。

  • 共同親権行使における困難事項

   両親間で子の養育について合意に至ることが一般的であり,ごく僅かな複雑で高葛藤の事例が家庭裁判所によって扱われる。多くは,家庭内暴力や虐待が関連するものである。

   具体的な紛争内容は,子の転居のほか,親権の行使態様,親と子が共に過ごす時間(面会交流も含む)についての定めが該当する。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   子の有無にかかわらず,当事者の合意のみで行われる協議離婚は認められず,裁判所による命令が必要である。ただし,夫婦が共同して離婚を申し立てるのであれば,夫婦がいずれも裁判所に出頭しなくても,裁判所は,離婚の命令を下すことができる。

  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

   ・ 面会交流(contact)という概念ではなく,「子と時間を共に過ごす(spend time with)」という概念により,親と子の交流が規定されている。これは親の権利ではなく義務であり,子の最善の利益のために認められているものである。

   ・ 裁判所は,均等な時間配分が子の最善の利益にかなうか,又は十分かつ重要な時間を共に過ごすことが子の最善の利益にかない,かつ,実現可能[23]であるかを検討しなければならない。

   ・ 両親は,離婚時に,子の養育,福利及び成長について合意をしなければならず,子と共に過ごす時間も合意すべき事項に含まれる。

  • 面会交流の支援制度

    政府の補助金により,裁判所を用いることなく両親が合意に達することができるようにするためのサービスが提供されている。具体的には,カウンセリングや,助言,調停,面会交流サービスである。面会交流サービスにおいては,子にとって安全な面会交流の実現を目指し,監督付きの面会交流を行ったり,面会交流の実現について葛藤を有する両親の援助を行ったりする。

  • 居所指定

   家族法には,子の居所の変更について特別の規定は設けられていない。両親間で子の居所の変更が問題になる場合は,子の最善の利益を第一に考慮して判断される。

  • 養育費
    • 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか

    両親は,離婚時に,子の養育,福利及び成長について合意しなければならず,養育費もその合意の対象に含まれている。

  • 養育費支払実現のための制度・援助

    裁判所は,子の養育に関する命令を発することができる。しかしながら,実際には,裁判所の命令よりも,1989年から施行されている「子の養育費に関する枠組み(the Chilid Support Scheme)」[24]の方が大きな役割

を果たしている。この枠組みは,養育費の査定及び徴収を行っている。

  • 嫡出でない子の親権

   婚姻関係の有無にかかわらず,別段の定めがない限り,全ての親は子に対して親権を有する。

【中東・アフリカ】

第1 サウジアラビア

  • 離婚後の親権行使の態様

   子が判断能力を有する年齢に達するまで(一般的に7歳程度とされている)は,母が再婚するか又は不適格である場合を除いて,母の監護(custody)が優越する。母は,シャリーア(shari’a)の原則(コーランと預言者ムハンマドの言行を法源とするイスラム法)に基づいて,単独で又は裁判官が命

じる場合には父と共同で親権を行使し,教育や子の財産の管理等を行う。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

   両親が親権の行使について合意することができない場合には,子の利益を考慮して,裁判所が決定を行う。

   裁判官は,両親それぞれの提案やどちらがより子の利益になるかを考慮し判断をする。児童心理学者の意見を聴くこともある。

  • 共同親権行使における困難事項

   両親が国際結婚をしている場合が該当する。裁判官は,子が非イスラム文化にさらされることを心配する傾向がある。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否

   子の有無にかかわらず,協議離婚をすることは認められている。その際に,親権行使の態様について合意することもできる。

  • 離婚後の面会交流

   裁判所が命じる場合には,警察等の公共機関の監督下で面会交流が行われることがある。

  • 居所指定

   同居親が,非同居親の同意なく,子と共に居所を変更することは禁止されている。

  • 嫡出でない子の親権

   父が子を認知した後は,両親が共同して親権を行使する。

第2 トルコ

  • 離婚後の監護の態様

   トルコ民法第337条は,例外的な場合(母が若年,死亡,親権を取り上げられている場合等)を除き,母が親権を有すると規定しており,共同親権を認めていない。

  • 子がいる場合の協議離婚の可否    子の有無にかかわらず,協議離婚は認められていない。
  • 離婚後の面会交流
    • 面会交流についての取決め

離婚の際に両親の間で取決め(protocol)がされていればそれに従い,取り決められていない場合は,裁判所が判断する。

  • 面会交流の支援制度

    政府が面会交流について支援することは一般的ではないが,親権者が他方の親と子との面会交流を認めない場合には,当該他方の親は政府に支援を求めることができる。

  • 居所指定

   離婚後は親権者が子の居所の決定権を有する。ただし,例外的に,裁判所が面会交流を維持させるために転居を制限することがある。

  • 嫡出でない子の親権

   トルコ民法第282条第1項,第2項により,子との親子関係は出産により認められ,母は婚姻関係になくとも子の親権を自動的に有する。父と子との親子関係は婚姻,認知,裁判所の決定により認められるが,父に親権が与えられるか否かは裁判所の判断によって決定されるため,父と子との親子関係が認められても直ちに共同親権となるわけではない。

第3 南アフリカ

  • 離婚後の親権行使の態様

   両親の離婚後に,共同で親権(guardianship)を行使することが認められているが,共同親権となっても,父母は,他方の親の同意が必要とされる特定の事項[25]を除き,単独で親権を行使することができる。

  • 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

   裁判官が第三者であるソーシャルワーカーを指名し,当該ソーシャルワーカーが,両親間の調停を行うことがある。ソーシャルワーカーは,ソーシャルワークの分野の修士号を取得している者が多い。


[1] アメリカ法の親権及び監護概念については,山口亮子「アメリカ」各国の離婚後の親権制度に関する調査研究業務報告書(平成26年)95頁以下参照。

[2] 山口・前掲注1)111頁。

[3] 従前,”custody”という語が用いられていたが,2013年の改正により,州家族法においては“guardianship”が用いられるようになった。

[4] 親権行使の具体的な内容は,州家族法第41条に列挙されている。例えば,日々の子に関する決定及び子の世話・監督,子の居所の決定等が挙げられる。

[5] 連邦離婚法においては,”custody”に代わって,”decision-making responsibility” が用いられるようになった。Decision-making responsibilityを有する親は,子の健康,教育,文化・言語・宗教・精神,課外活動について,子の福祉を考慮して決定を行う。

[6] 司法省の家族サービス部門(FJSD)に属し,家族調停者として訓練を受けている者である。家族司法カウンセラーは,情報提供をしたり,解決案を提示したりする。両親に対しては,サービスは無償で提供される。地域によっては,両親は裁判所の審理の前に,家族司法カウンセラーと面会することが義務付けられている。家族司法カウンセラーは,面会

[7] 前掲注6)も参照。

[8] 西谷祐子「アルゼンチンの離婚及び別居法について」家裁月報59巻4・5号1頁。

[9] なお,西谷・前掲注8)によると,5歳未満の子については,原則としては母の監護の下に置かれるという民法の規定が存在するようである(民法第206条第2項,第217条)。

[10] 西谷祐子「ブラジルの離婚及び別居法について」家裁月報58巻4・5号1頁以下。た

だし,同論文の公表後,ブラジル民法は改正が行われているようである。

[11] 子に意見を聴く際には,必要に応じて心理カウンセラー等の専門家を活用するなどし,子の意見を慎重に聴取するための環境を整備している。

[12] インドの家族法は,宗教法(ヒンドゥー教徒家族法,ムスリム家族法,キリスト教徒家族法,パールシー教徒家族法,ユダヤ教徒法)及び慣習法から成り,多様なものであるようである(「インド家族法(2017-18年版)(1)」戸籍時報761号13頁以下)。

[13] 通常は,家庭裁判所に離婚意思の確認を申請して離婚に関する案内を受けた日から1か月経過後であるが,養育すべき子がいる場合には3か月になる。

[14] 椎名規子①「イタリア」床谷文雄=本山敦編『親権法の比較研究』(日本評論社,2014年)202頁以下,同②「離婚後の共同親権:イタリアと日本の法制度の比較において」戸籍時報702号24頁以下,同③「離婚後の共同親権―イタリアにおける共同分担監護の原則から」法と民主主義447号28頁以下。

[15] 詳細は,椎名・前掲注15)①論文217頁以下。

[16] ①母と共に子の出生登録をして出生証明書に父としてその名が記載された者,②親権取得に係る母の同意を得た者,③裁判所による親権命令を得た者,④子に関する取決決定において子と同居する者としてその名が挙げられている者,⑤子の親権者死亡後に後見人となった者。

[17] ①両親の間に挟まれて子が迷い又は身動きが取れなくなるおそれがあり,その状態が近いうちに十分に改善されることを期待することができないとき,又は②子の最善の利益に照らして親権者の変更が必要なときにのみ単独親権とされる(民法第251条a第1項)。

[18] なお,面会交流の実施が親の経済力に依存してはならないとの観点から,面会権を有する親に支払能力がない場合には,一般的に州や自治体が費用について負担することが可能である。面会に要する費用負担を含む支援については,州及び自治体の権能に属し,連邦法による規律は存在しない。

[19] 千葉華月「北欧法」床谷文雄=本山敦編『親権法の比較研究』(日本評論社,2014年)254頁以下,髙橋睦子「面会交流と子どもの最善の利益」法律時報85巻4号63頁以下。

[20] 例えば,親権者は,子が交流する権利を有する他方の親と交流するための交通費を支払う義務が法に規定されている。

[21] 子にとって著しく重要な事項としては,居所指定,子の教育に関する根本的な問題,施設・学校の選択,選択した学校教育の中断又は変更,職業教育の終了など,また,重大な合併症や副作用の危険がある医療的措置の決定が挙げられる。

[22] 小川富之・宍戸育世「オーストラリア」各国の離婚後の親権制度に関する調査研究業務報告書129頁以下も参照。

[23] 実現可能性の判断においては,両親がどの程度離れて暮らしているか,現在及び将来において両親が連絡を取る可能性,両親が困難な事項について解決することができる可能性等が考慮要素となる(家族法第65DDA条第5項)。

[24] 子どもの養育費の登録及び徴収に関する法律及び子どもの養育費算定に関する法律。これら制度の詳細については,前掲注27)145頁以下に記載されている。

[25] ここでいう特定の事項には,子の結婚,子の養子縁組,子の国外への移住又は転居,子の旅券申請等が該当する。

Other resources that might interest you

Japan Resources

夫の連れ子、重体に…虐待の継母に懲役6年 友人の忠告、聞かずに暴行 子は生涯にわたり回復困難/地裁

草加市の自宅で2017年9月、長男の背中を突き飛ばし重体となるけがを負わせたとして、暴行と傷害の罪に問われた母親の無職高橋冴季被告(27)の判決公判が25日、さいたま地裁で開かれ、一場修子裁判長は懲役6年(求刑・懲役9年)を言い渡した。

Read More »